
2026年7月18日、広島グリーンアリーナで『abc presents RIZIN LANDMARK 15 in HIROSHIMA』が開催される。メインに据えられたのはRIZINバンタム級タイトルマッチ。さらにコメインには、中央アジアから来た刺客と、崖っぷちに立つ日本のスター/実績者が激突するフェザー級・バンタム級の好カードが並ぶ。王座の行方、リベンジ、ベテランの再起、そして地元・広島ゆかりの選手たちの凱旋——タイトルの有無を超えて見どころの詰まった全15カードを、すべて裏取り済みの事実に基づいて読み解く。
配信はRIZIN 100 CLUB/RIZIN LIVE/ABEMA/U-NEXT/スカパー!にて実施。なお対戦順・カードは今後変更される可能性がある。
この大会を貫く3つのストーリーライン
第一に「王座とリベンジ」だ。 大会の頂点に立つのはRIZINバンタム級タイトルマッチ、王者ダニー・サバテロvs挑戦者・鹿志村仁之介。そしてコメインのバンタム級では、そのサバテロに2025年5月にKO負けを喫した太田忍が、勝てば再挑戦が見えてくる一番に臨む。チャンピオンと、王座を狙う者たちの思惑が交錯する。
第二に「中央アジア勢の襲来」だ。 バンタム級の太田が迎え撃つのはキルギスのイリスベク・ティレノフ。フェザー級の萩原京平が対峙するのはカザフスタンのカルシャガ・ダウトベック。いずれも日本のスター/実績者に黒星をつけに来た中央アジアのファイターで、彼らをどう跳ね返すかが大会の縦軸になる。
第三に「地元・広島の凱旋」だ。 福山出身の平田彩音と佐々木信治、広島出身のシヴァエフ、広島市出身の遥心、広島を拠点とする神田T800周一——ホームのリングで戦う選手が多く、地元の声援が試合を後押しする。
メインイベント|RIZINバンタム級タイトルマッチ:ダニー・サバテロ vs 鹿志村仁之介
王者の鉄壁のレスリングに、柔術黒帯の挑戦者がどう挑むか。
王者ダニー・サバテロ(アメリカン・トップチーム/18勝4敗1分)は、パデュー大学でNCAAディビジョンIのレスリング全米選手権に3度出場した本格派レスラー。元Titan FCバンタム級王者で、Bellatorを経てRIZINへ。2025年大晦日に井上直樹を判定で下して第8代RIZINバンタム級王者となり、2026年4月のLANDMARK 13(福岡)では後藤丈治を3-0(30-27,30-27,30-26)で完封し初防衛に成功した。テイクダウンを奪ってトップを支配し、相手に何もさせず時間を奪い切る完封型だ。
挑戦者鹿志村仁之介(12勝5敗)は2019年JBJJF全日本選手権を制した柔術黒帯のグラップラー。直近は4連勝中で、2026年3月のRIZIN.52で所英男をアナコンダチョークで一本、2026年5月のDEEPでは平松翔をわずか16秒のTKOで下しDEEP暫定バンタム級王座を獲得した。当初の挑戦者だった井上直樹が見送られ、勢いを買われて大舞台に抜擢された格好だ。
戦術的な焦点は「上を取り続けるサバテロ」対「下や首から極めを狙う鹿志村」。 サバテロがレスリングでテイクダウンを重ね、トップで時間を支配すれば防衛は近い。一方、鹿志村は直近4戦のうち3つを一本/TKOで仕留めるフィニッシュ力が武器で、サバテロが組みに来た一瞬の隙に首や腕を捉えられれば、一本での戴冠が現実味を帯びる。完封のサバテロか、一発の鹿志村か。 レスリングが上回る王者を本命と見るが、柔術家の極めは一瞬で試合をひっくり返す——その緊張感こそがこのタイトルマッチの醍醐味だ。
コメインイベント①|カルシャガ・ダウトベック vs 萩原京平(66.0kg契約/MMA)
好調の刺客が振るう拳を、人気者の闘魂が止められるか。
カルシャガ・ダウトベック(Turan Orda/Tiger Muay Thai・カザフスタン/18勝3敗1NC)は、18勝中14がKO/TKOという破壊力を誇るストライカー。2024年は木下カラテ・関鉄矢を1R KOで沈め、2024年大晦日にYA-MAN、2025年3月のRIZIN.50では元RIZINフェザー級王者・鈴木千裕をスプリット判定で下すなど充実している。RIZIN公式は「MMA10連勝・RIZIN4連勝」と紹介する(※2025年大晦日の久保優太戦は、久保の指がダウトベックの右目に入る不可抗力で無効試合となっており、連勝の数え方には留保が必要)。いずれにせよ、現在のフェザー級戦線で最も勢いのある一人であることは間違いない。
対する萩原京平(SMOKER GYM/9勝11敗1NC)は、「喧嘩番長」「アンダーグラウンドエンペラー」の異名どおり、アグレッシブな打撃と不屈の闘志でRIZINの人気を支えてきた男。数字こそ派手ではないが、2025年5月に西谷大成を1R KOで仕留めるなど一撃を持つ。一方で近況は厳しく、2025年11月のLANDMARK 12では秋元強真に2R TKO負け(この一戦は年間ベストバウトに選出された激闘だった)、2026年4月のLANDMARK 13ではメヘウラ相手に実質TKO負け(相手の体重超過による特別ルールで記録上はノーコンテスト)と、勝ち切れない時間が続く。
焦点は打撃戦の主導権だ。 両者ともストライカーで、真っ向からの撃ち合いになりやすい。それは萩原の最も得意とする土俵であると同時に、KO率の高いダウトベックにとっても最も危険な領域。萩原は直近2戦でクリンチ/グラウンドに持ち込まれて崩れており、純粋な打ち合いの距離を保てるかが鍵になる。萩原自身「キャリアで一番危険な相手」と語り、9月の『超RIZIN.5』出場をかけた査定試合とも報じられるこの一番。フィニッシュ力と充実度でダウトベックがやや優位と見るが、萩原のパンチが序盤に先に当たれば、広島の歓声を背に一発の波乱も十分にあり得る。
コメインイベント②|太田忍 vs イリスベク・ティレノフ(61.0kg契約/MMA)
五輪メダリストのレスリング対、6連勝の刺客。
太田忍(THE BLACKBELT JAPAN/8勝5敗)は、2016年リオ五輪レスリング・グレコローマン59kg級の銀メダリスト。決勝でキューバのイスマエル・ボレロに敗れて銀に終わった、正真正銘のトップレスラーだ。MMAでもグレコ仕込みのテイクダウンを軸に戦い、直近2026年5月のRIZIN.53では金太郎(外村友斗)を2Rにアームトライアングルチョーク(肩固め)で一本勝ち。その前の2025年5月、現王者ダニー・サバテロに3R KOで敗れている。勝てばそのサバテロへのリベンジ、すなわち王座挑戦が見えてくる重要な一戦と本人も位置づける。
迎え撃つイリスベク・ティレノフ(キルギス・ビシュケク出身/7勝1敗)は22歳の伸び盛り。RIZINフェザー級王者ラジャブアリ・シェイドゥラエフと同門(Ihlas)で、その推薦を受けてのRIZIN初参戦という触れ込みだ。プロ2戦目で喫した1敗を最後に6連勝中で、TKO(パンチ・肘)での決着が多いフィニッシャー。太田は「テイクダウンディフェンスが強く、リーチが長い」と警戒を口にしている。
焦点はグラウンドの主導権争い。 太田が世界トップレベルのレスリングで早期にティレノフを倒し、トップで時間を支配できれば、経験と実績で押し切れる。だが、もしティレノフがTD防御で組みを切り、長いリーチからの打撃で距離を支配すれば、太田は近年サバテロ戦でも見せた被弾の脆さを突かれかねない。太田が組み勝てば本命、打撃戦が長引けば6連勝の刺客の番狂わせも現実的。 断定を許さない好取組だ。
注目の中堅カード
ジョニー・ケース vs 天弥(71.0kg契約/MMA)
「ハリウッド」ジョニー・ケース(MMAラボ・米国/28勝10敗1分1無効、UFC4勝2敗)は、元MCCライト級王者でUFC経験も豊富な海千山千のベテラン。だが近況は不安定で、2024年にノア・ベイへ判定負け、2025年5月の大原樹理戦は自身の計量失敗によりノーコンテストと、立て直しが求められる。対する天弥(和術慧舟會HEARTS/5勝3敗)は22歳、極真空手をバックボーンに持つ打撃ファイター。直近2026年4月のLANDMARK 13では3.5kgもの体重超過の末にヌルハン・ズマガジーへ判定負けと、評価を回復したい正念場だ。経験と総合力のケースが、若さと一発を持つ天弥の打撃を捌けるかが見どころ。両者とも計量・調子に不安を抱えての対戦でもある。
ヒロヤ vs 山本アーセン(フライ級57.0kg契約/MMA)
朝倉未来の門下生として知られるヒロヤ(JAPAN TOP TEAM)は、直近で神龍誠・元谷友貴に連敗中(いずれもテイクダウンとグラウンドコントロールに苦しんだ)。その前は篠塚辰樹を1R KO/TKOで下しており、本人が「自分自身の人生もかかっている」と語る崖っぷちの一戦だ。対する山本アーセン(KRAZY BEE)は、母・山本美憂、叔父・山本"KID"徳郁、叔母・山本聖子を擁するレスリング名門一家の出身。グレコローマン仕込みの組みが武器で、直近は伊藤裕樹に判定勝ち、冨澤大智をリアネイキッドチョークで一本と調子を上げている(一方で神龍誠にはギロチンで一本負けも喫している)。複数メディアが「初対決」と報じるこの試合は、ヒロヤがアーセンの組みを切って打撃戦に持ち込めるかが分水嶺となる。
パク・シウ vs 須田萌里(スーパーアトム級49.0kg契約/MMA)
伊澤星花が返上したRIZIN女子スーパーアトム級王座をめぐる選考の一戦。パク・シウ(韓国・釜山/13勝6敗)は元DEEP JEWELSストロー級王者で、2022年RIZINスーパーアトム級ワールドGP準優勝(決勝で伊澤に判定負け)の実績者。RENA・浅倉カンナ・浜崎朱加といったトップ勢を判定で退けてきた距離管理と試合運びに長ける、勝ち星の約8割が判定という巧者だ。対する須田萌里(Scorpion Gym/15勝7敗)は21歳の柔術グラッパー。"寝技のもえちゃん"の異名どおり15勝中10勝が一本で、2025年には浜崎朱加をRNC、成田ノエルを腕十字で仕留めている。判定巧者の打撃寄り対一本狙いのグラップラーという典型的なスタイル対決。フィニッシュの鮮烈さが選考で重視されるだけに、組み際の攻防が勝敗と王座への距離を分ける。
大島沙緒里 vs イ・イェジ(スーパーアトム級49.0kg契約/MMA)
こちらもスーパーアトム級のリベンジマッチ。大島沙緒里(リバーサルジム新宿Me,We/16勝7敗)は柔道弐段の極め特化型グラッパーで、DEEP/DEEP JEWELSで複数階級の王座を獲得した「極めのミクロクイーン」。16勝中9勝が一本だ。直近は2026年3月のRIZIN.52でケイト・ロータスの連勝を止め、その前は王者・伊澤星花にタイトル挑戦して判定負けしている。対するイ・イェジ(韓国)は打撃ベースでテイクダウン防御に長けるタイプ。**両者は2025年5月のDEEP125で対戦し、イ・イェジが大島のダブルレッグを潰して打撃で完勝(判定勝ち)**しており、今回は大島のリベンジマッチとなる。大島が組みを修正してトップを取れれば一本、イ・イェジが前回同様に打撃とTD防御で嫌えば再び判定——前回の再現を許すかどうかが見どころだ。
昇侍 vs 梅野源治(64.0kg契約/MMA)
昇侍(丸山昌治/17勝18敗)は三重出身のベテランで、初代ライト級キング・オブ・パンクラス王者。2021年のRIZIN.30では鈴木千裕をわずか20秒でKOした一発を持つが、近年は被弾しての失速が目立つ。対する梅野源治(PHOENIX)は、WBCムエタイ世界スーパーフェザー級王者にしてラジャダムナン認定王者という立ち技の超一流。MMA転向後も評価を上げ、2025年9月のRIZIN.51では芦澤竜誠に判定勝ち(MMA2勝目)を収めたが、直近2026年5月のRIZIN.53では坪田大樹に三角絞めで一本負けと、寝技に課題を残す。両者は芦澤竜誠という共通の相手を持ち、昇侍はKO負け・梅野は判定勝ちと明暗が分かれているのも興味深い。打撃自慢同士の真っ向勝負か、それとも昇侍が組みで梅野の弱点を突くか。
佐々木信治 vs 林RICE陽太(ウェルター級77.0kg契約/MMA)
広島・福山出身の佐々木信治(BURST/20勝14敗3分)は、第6代修斗環太平洋ウェルター級王者にして元GLADIATORライト級王者の地元のベテラン。2024年に一度は現役引退を表明していたが、約2年ぶり・46歳での現役復帰戦を地元のリングで迎える。RIZIN.1ではダロン・クルックシャンクをサッカーボールキックでKOした実績もある。対する林RICE陽太(11勝9敗1分)はGRACHANを主戦場とする上り調子の選手で、2025年12月にライト級・ウェルター級の2階級制覇を達成(ウェルター級王座決定戦で山田哲也を1R RNCで撃破)。ブランク明け46歳の地元の英雄か、勢いに乗るGRACHANの2階級王者か。年齢とブランクが佐々木にどう出るかが焦点だ。
篠塚辰樹 vs イ・ジェフン(フライ級57.0kg契約/MMA)
「THE PROBLEM BOY」篠塚辰樹(MASTER BRIDGE)は、高校アマチュアボクシング・プロボクシング・キックボクシング・ベアナックルと多彩な立ち技歴を持つ第8代Krushフェザー級王者。MMAは1勝1敗だが、直近2025年大晦日に冨澤大智を2R TKOで下しMMA初白星を挙げた(唯一の黒星はヒロヤ戦のグラウンドでの被弾)。対するイ・ジェフン(韓国・SSMA/3勝1敗)はRIZIN初参戦の新鋭で、直近2戦をいずれも1Rの右・左で仕留めるKO決着。打撃巧者同士、序盤からヒートアップしそうな一戦で、篠塚の立ち技の総キャリアが上回るか、イ・ジェフンの一発が刺さるか。
立ち技ルール&オープニングファイト
芝宏二郎 vs 遥心(キックボクシング・54.5kg契約/3分3R)
本大会唯一のキックボクシングルール。芝宏二郎(リングネーム・KOUJIRO)は第3代HOOST CUP日本スーパーフライ級王者で、ONE Friday Fightsでは3戦3勝(全KO/TKO)。2026年4月のK-1では元Krush王者・黒川瑛斗を3R KOで下すなどフィニッシュ力に定評がある。対する遥心(松島遥心)は広島市出身、K-1カレッジ2023王者でプロ6戦5勝1敗のサウスポー。地元・広島の凱旋マッチとして、KO量産の芝にアマチュアエリートの技術でどう対抗するかが見どころだ。
シヴァエフ vs ベンジャミン(ライト級/MMA特別ルール)
シヴァエフ(柴村拓弥/リバーサルジム新宿Me,We)は広島出身、プロ修斗6戦5勝1敗で2024年度修斗ライト級新人王。5勝のうち4勝がKO/TKO(多くが2Rの膝・パンチ)という前進圧力型のフィニッシャーだ。直近2026年2月に後藤亮へKO負けを喫しており、地元・広島での再起戦となる。対戦相手のベンジャミン(岡山・blooM)はプロの戦績・経歴に確かな情報が乏しく、シヴァエフのフィニッシュ力にどう対応するかが鍵となる。
HIME vs 平田彩音(スーパーアトム級49.0kg契約/MMA)
HIME(川端なみ子/毛利道場/6勝5敗)はバスケットボール出身の選手で、2022年には世界アトム級の上位にランクされたこともある実力者。試合経験では上回るが、直近は須田萌里に判定負け。対する平田彩音(BURST/4勝3敗)は地元・福山出身の21歳。全日本アマチュア修斗優勝の実績を持ち、女子MMAの名選手・藤井惠の門下で、打撃でのKO決着を持ち味とする。5分2Rの短期決戦は平田の一発が生きやすく、経験のHIMEと勢いの平田の接戦が予想される。
神田T800周一 vs 長野将大(バンタム級61.0kg契約/MMA特別ルール)
広島を拠点とするベテラン神田T800周一(18勝15敗1分)は、Pancrase・修斗・GLADIATORを渡り歩いた元GLADIATORバンタム級王者で、修斗で世界6位にランクされた実績を持つ。対する長野将大(リバーサルジム武蔵小杉/11勝6敗)は、サブミッション決着が5勝0敗と極めに強いグラップラー。直近2戦を連続1R一本勝ちと勢いに乗り、フライ級から階級を上げての参戦だ。地元のベテランの試合巧者ぶりと、勢いの極め屋の対決となる。
田中仁 vs 健太朗(フライ級57.0kg契約/RIZINアマチュアルール・3分2R)
大会の幕開けを飾るアマチュアマッチ。田中仁(BURST)は全日本ジュニア修斗選手権優勝(2025)、健太朗(正道会館菱川道場)はジュニア修斗全日本3連覇と、ともにジュニア修斗で実績を積んだ若手同士の一戦。両者ともプロ戦績は公開されておらず未知数だが、修斗で揉まれた将来有望なホープの初々しい激突に注目したい。
まとめ|広島が見届ける“王座とリベンジ”の一夜
RIZIN LANDMARK 15は、頂点にRIZINバンタム級タイトルマッチ(サバテロvs鹿志村)を据え、コメインで中央アジアの刺客(ダウトベック/ティレノフ)が日本のスター・実績者(萩原/太田)に牙を剥く、骨太な対立軸で貫かれた一夜だ。サバテロの鉄壁を鹿志村の柔術が崩せるのか。サバテロへのリベンジを狙う太田は、6連勝の刺客を退けられるのか。人気者・萩原は、好調ダウトベックの拳を止められるのか——。さらに46歳での復帰に挑む佐々木信治をはじめ、広島ゆかりの選手たちが地元の声援を背に各々の物語を背負う。7月18日、広島グリーンアリーナで交錯する王座とリベンジの行方を、ぜひ見届けてほしい。
※本記事は2026年6月時点で公表された情報・各種一次資料に基づきます。戦績や対戦カード・試合順は今後の試合や発表により変動する可能性があります。


